仏具で使われる「おりん(音の高さが異なるものを4つ)」を、Timpani(26インチくらいが良いです)のヘッドの上に乗せ、木製のバチで叩いたあと、ペダルをスウィングさせて響きを作ります。龍谷大学吹奏楽部が2006年の吹奏楽コンクールで演奏してくれたときは、部員が家から様々な大きさの「おりん」を持ってきてくれました。お寺の子が結構多いので、かなり色々なサイズが集まって楽しかったですよ。(2007.11.17)
「何を使って作曲するのですか?」も含めて非常に多い質問です。五線紙に鉛筆で音符を書きます。大編成で長い小説線を引くときは定規も使います。もちろん、大きな五線紙が載る机や、長時間座っても疲れにくい椅子は必要です。普通の勉強机だとどうしても奥行きが狭く、こたつを愛用していた時期もありましたが、すぐに居眠りしたり、ミカンを食べたくなってしまうので、やはり椅子に座って仕事をする方がはかどります。ピアノの譜面台に画板を置いて、そこに五線紙を載せてと言う方法もありますが、小さな五線紙でないと難しいです。しかも消しゴムを使うと、鍵盤やアクションが消しゴムのカスで汚れて、あまりよろしくありません。確かに絵にはなりますが、私がこのような方法をとるのは下書きの段階でのみです。
1998年頃から、清書にはコンピューターも使うようになりました。Finaleと言うソフトを使っています。大編成の作品だと、パート譜を作るときに大分助かります。かなり高度な記譜も出来るソフトで、大半の機能を使いこなせていませんが、随分助けて貰っています。2003年12月現在、Macintosh G4(最初期にリリースされたCPU350MHzのモデルです)にヤマハの電子ピアノ(これも1989年に購入した古いもの)を接続して使っています。A3対応のレーザープリンターはエプソンのLP8300Sを利用。もちろん紙の五線紙も使いますが、最近はもっぱら下書き専用で、普通の文具店で市販されているB5サイズ12段、200円くらいのものを愛用しています。(2004.1.1)
この質問に一般的に答えているサイトや文献は数多くあるので、私の場合についてお答えします。ひょっとするとあまり参考にならないかも知れません。
私が「たなばた」を作曲したのは高校生の時ですが、これが初めての吹奏楽作品ではありますが、初めての作品ではありません。これ以前にもアンサンブルやピアノソロの作品をたくさん書いていますし(人に聴かせられないような曲がほとんどですが)吹奏楽にしてもポップスなどの編曲などはいくつか書いています。で、ちゃんとした作曲家の先生について勉強を始めたのは、高校を卒業してしばらく(当初は全く違う進路を目指しておりました)、音大進学を決めてからですから、「たなばた」は全くの独学で作った作品です。
私は幼い頃からピアノを習っていましたので、その傍ら「聴音」と言って、簡単な譜面の書き方は教わりましたし、譜面を読めなければ当然ピアノは弾けないわけですから、譜面の読み方もそれなりに理解していました。ですから、自分の中に歌心があれば、それですでに作曲の第一歩は踏み出せているわけですし、あとはそれをどれだけ多くの人たちに伝えたいか、と言う気持ち次第だと思います。
譜面を書くことは、はっきり言って楽ではありません。吹奏楽で50人のバンドならば、「じゃん」と言うだけで、50人分の音を書かなければ行けないわけです。今ではコンピューターで譜面を書く手間をかなり省略出来るようになりましたが、それでも相当な労力です。まずは、そんな手間を物ともせずに、自分の音楽を人に伝えたいという気持ちが一番大切でしょう。最初から良い曲を書こうとして、理論書やらばかり読んで、肝心の五線紙には一つも音符を書かないのでは、いつまで経っても曲は出来ません。最初はとんでもない音がしても、とにかくスコアに音符を書いて、パート譜を作って、音を出して、それを繰り返して作曲という物はだんだんうまくなっていく物です。
さて「たなばた」を書いた頃に私が参考にした文献。ですが、学校の図書館に兼田敏氏の「吹奏楽編曲法」のような著書があり(詳細な署名を失念)これは結構参考になりました。理論書のような物はこのくらいで、あとはもっぱら、「好きな曲の譜面」が教科書でした。ホルストの「惑星」、R.シュトラウスの「英雄の生涯」、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」「ダフニスとクロエ」、ドビュッシーの「海」等々。特にラヴェルの譜面は当時物凄く高く、高校生の小遣いではかなり苦しい物がありましたが、苦労して手に入れた物だけあって、何度も読み返しては新しい発見をした物です。そうそう、課題曲だった真島俊夫氏の「波の見える風景」もわざわざ自分用にもう一冊スコアを買って貰いましたっけ。もちろん今でも大切にしています。「学生なのでお金があまり無くて」なんて言うメールも多いですが、自分が本当に好きな作品の譜面ならば無理してでも買うべきでしょう。それに見合う価値は十分すぎるほどにありますよ。(2002.9.1)
・・・
忘れた頃に、こういう質問が来るから困ったものです。良いわけがありません。
法律以前の問題で、全く神経を疑います。私の気持ちも少しは考えて欲しいものです。「譜面は他の学校から借りてコピーして使う」のを全く悪いと思っていない子供達がいるのは、明らかに教師の責任です。権利意識、なんてものではなくても、人を気遣う心を育てて欲しいものです。法律も、このあたりの制限についてはもう一つ曖昧なところもあるようなので、法廷に訴えようとは思いません。「演奏する価値がない」譜面を無理に購入しろとは言いません。でも、私の作品をそのように扱う人たちとはお付き合いしたくありません。
もっとひどいのは「どこそこの学校はあなた譜面をコピーして・・・」などと密告まがいのことをしてくる人たちが結構いますが、聞きたくもありません。「友達の譜面やから買ったって〜な〜」と進言してくれる友人もいます。ここをご覧の方のほとんどが必要な譜面は本物を買ってくださる方々がほとんどだと思っていますが、時々いただくあまり気分の良くないメールへのお返事もかねて。
出版社も、本物を持つ喜びを感じられる譜面を作る努力をしないとダメですね!(2002.2.1)
上記の2曲に限らず、私の吹奏楽作品、全てに置いて言えることですが、まず指揮者が明確なイメージを持つ必要があります。別に「織り姫と彦星がどうのこうの」と言う話ではありません。自分の目の前にいるバンドで、どの様な音の高さ、長さ、大きさで演奏するかと言うことです。現場でよく使われる言葉に言い換えると、ピッチ、リズム、ダイナミクス、もちろん音色もですが、指揮者が何を要求するのか、明確にしておかなければ始まりません。行き当たりばったりに何度も繰り返すだけの合奏ほど、演奏者に迷惑なものはありません。
ピッチを合わせるためには、まず、演奏する曲でどの様な(調性の)音階が使われているのか、熟知していなければなりません。私の作品はそれこそ1小節ごとに転調するのはざらです。吹奏楽でよく使われる、いくつかのフラットが付いた調だけではなく、24の長調、短調のほとんどを使っています。音域はさほど無理がないのに、サウンドを作りにくい。私の作品を取り組む上で最大の難しさはまずここにあります。ひとつひとつの音を追いかけてチューナーで音程を追いかけているだけでは、転調感の美しさを出すのは難しいでしょう。では、どうすればよいのか?各パートの譜面を声に出して歌ってみるのが一番手軽で、一番効果的なやり方のようです。「おおみそか」はしばしば大胆な転調が出現するのですが、とある中学校では、その転調感の美しさを鮮やかに演奏していて感動したものです。どうしたらこんなに美しく音が合うものかと、顧問の先生に尋ねたら「歌っている」と、あっさり答えが返ってきました。
指揮者の話に戻りますが、スコアを研究して、主役(主旋律)脇役(対旋律)背景(伴奏)などが、どの楽器に割り振られているかは、把握しておくべきです。役割が明確なときもあれば、指揮者にその判断がゆだねられる場合もあるでしょう。これは、音量のバランスを調整する上で重要です。もっともこれは、まず譜面に書かれてある強弱を指定通り演奏できるようになった上でのお話です。全ての音を出せるだけの音量で吹かされている演奏を耳にすることがありますが、演奏者(子供達)が本当に可哀想です。
2001年4月29日に私の作品「風の精」をコンサートで初めて演奏してくれた、大阪市音楽団のメンバーがこの曲についてこんなお話をしてくれました。
『どんなに良い奏者が揃っていても、指揮者がタコだとこの曲は音楽にならない。でも、ちゃんと勉強した指揮者がいれば、普通の中学生でも充分素敵な演奏が出来る』
これは私の作品に限った話じゃないでしょう。いくらやる気があっても、気合いだけで音楽づくりをするのは無理な話で、音楽的な理論に裏付けされた演出計画は不可欠です。別に最初から上手く行かなくても、少しずつ音楽の勉強をしていけば、そう言うものはだんだんと備わっていくものです。その勉強を続ける意志を助けるために、「新緑を吹き抜けていく風」をイメージしていただけるならば、それはとても嬉しいことです。(2000.5.1)
やっぱりこの2曲は1小節を2つに感じてしまう人が多いようですね〜。
指揮者が納得した上でならば基本的にどう振っていただこうと私は構わないのですが、迷っていたり、演奏者から圧力がかかっている人のために申し上げておきましょう。「大仏と鹿」は3/8拍子の所は3つ、6/16拍子は2つで振るべきです。「おおみそか」ならば3/4拍子は3つ、2/4拍子は2つで振ります。「大仏と鹿」はベースのリズムに合わせて1小節を器用に2つや3つに振り分ける方がいらっしゃいますが、音楽の流れはギクシャクして聞こえます。ここだけの話ですが、初演の時、木村吉宏大先生は1小節だけ6/16拍子に変わる16小節目を3つで振っていらして、「げっ」と思いましたが、おそらく弘法も筆の誤りと言うところでしょうか。(笑)
あと、参考までに「若草山のファンファーレ」は3/4拍子ですが、1小節を1つで振ります。「たなばた」も1小節を4つと2つに振り分けるのか迷われる方もいらっしゃるようですが、私は全部4つに振ればいいと思います。曲の最初の部分は8つに振っても良いかなと思うくらいです。
と言うことで、えらそうに言っていますが、私が学生の時、指揮の成績は惨憺たる物でした。(苦笑)ですから、以上の事柄は「どうにも迷っている」と言う方だけご参考にして下さい。(2000.2.15)
これは基本的にはとても光栄で嬉しい話なのです。
ただ、どこの誰か分からない、得体の知れない人から突然、
「なんぼで書いてくれる〜?どうせ『たなばた』でボロ儲けしてはりまんねやろう。ウチが初演したらきっと大ヒットしまっせ〜。どうでっか〜○万円くらいで○分くらいの曲、ええ話やと思うで〜」
なんて、メールが来たら、「見なかったことにしておきたい」と言う気持ちになってしまいます。しかも、上のようなメールを標準語で書かれると(関西弁でもたいがい気分悪いですが)、デリケートな関西人の私には、はっきり言って、その日一日、食事をとる気もなくすようなショックを受けてしまいます。ついでに申し上げておきますが「たなばた」は学生時代に出版した作品で、とにかくデビューを願っていた私は格安で版権を譲ってしまったので、この曲に関しては1円たりとも印税を受け取っていません!(じゃ、コピーして良いか、なんて考えはおやめ下さい。)
誤解がないように申し上げますが、私に作品を書いて欲しい、と思ってくれることはとても嬉しいことです。ただ、委嘱作品となれば具体的な料金の話題は当然避けて通れません。相手がどの様な方か分からない状態では、とてもそう言うお話は出来ないなと感じています。言い換えれば、メールのやりとりをしている間に、親しくなることの出来た友人に、曲を依頼されると言うので有れば、それは何よりも嬉しいお話です。私はかなり人見知りの激しいタイプですが、インターネットを通じて新しい友人と出会いたいと言う気持ちは持っているつもりです。女性ならばなおさらです。(笑)
さて、様々な出会いに恵まれて、昨年、二つの一般バンドより委嘱を受け、そのうち一つは(編曲ですが)先日(2001年1月14日)に初演されました。お世話になっている指揮者に紹介されてのお話だったのですが、このバンドの担当者が大変素敵な女性のEuphonium奏者だったものですから、中間部はEuphoniumを美味しくしようと、そんなところからどんどん発想が膨らんで、我ながら素敵なアレンジが出来たなと思っています。
もう一つの委嘱作品(こちらは2001年夏に完成予定)ですが、こちらのバンドは、インターネット上で知り合ったバンドです。こちらのバンドの熱意は大変な物で、ついに押し切られ、ネット上の出会いによるはじめての委嘱作品となりました。でも、短い時間ですが、コンサートで責任者にお会いしたことが、委嘱を引き受けた大きな理由です。また、このバンドのClarinetの女の子が、いつも可愛らしいメールで私を励ましてくれます。どんな人が演奏するのかな?と、色々と思いを巡らせながら作品を書くのは何とも嬉しいことだし、ついつい張り切ってしまいます。(笑)
私は作曲をすることで、自分自身の表現ももちろんですが、人との繋がりが生まれることに大きな喜びを感じています。ですから、そんな素敵なお付き合いの出来る方々のために曲を書いていきたいと思っています。ちょっと贅沢かな?(2001.2.15)
トロンボーンの第7ポジションというのは、意外に遠い物なのですね。先日、生徒のトロンボーンを借りて第7ポジションを体験してみましたが、ほとんど腕が伸びきった状態になりました。小柄な女の子ならば「届かない!」と言う子がいてもおかしくないでしょう。
で、ご指摘の箇所ですが、楽譜通りにグリッサンドをするならば第7ポジション以外は考えられません。しかも第7ポジションで吹くべき音にはアクセントが付いていますので、はっきりピッチをとって吹かなければなりません。物理的に腕が届かないのであれば「ひも」を使うという手があります。スライドの取っ手にひもを結びつけて、投げたらちょうど第7ポジションの位置に達するように長さを調節します。実際、私が高校時代、トロンボーンに小柄な先輩がいらして、この技を駆使されていました。
最近ではF管付の楽器が一般的になって、第7ポジションなんて滅多に使われないようですが、せっかくなので使ってみましょう!
問題の箇所ですが、前の小節に短い休符がありますので、そこで第7ポジション(1番2番トロンボーンは第5ポジション)にセットしてしまいましょう。ひもで結ばれているとは言え、スライドを投げ出すのは勇気がいると思いますが、豪快なグリッサンドはトロンボーンの醍醐味ですから、是非挑戦してみて下さい。くれぐれも、ひもの調節は慎重に!スライドが舞台上を指揮者のところまでスライディングしていった、と言うことにはならないように気をつけて下さい。(笑)(2000.3.1)
さて、これは後日Tromboneを吹く女性から頂いたメールに書かれてあったのですが、練習すれば第7ポジションに手が届くようになると言うことです。肩関節の使い方、首の角度、スライドの持ち方を工夫すれば、かなり小柄な子でも充分対応できるとのことです。(2001.2.15)
カットについてはしばしば尋ねられるのですが、私の作品は自分の子供のようなもの。出版されて、もはや私の手を放れたと言えども、カットされて演奏されると言うのは、我が子の手や足をもぎ取られる思いです。さらに、「どこを切れば?」などと聞かれた日には・・・辛いものです。
とは言え、コンクールで7分という制限時間があるのであれば、カットもやむを得ないでしょう。参考までに、過去、この二つの作品を7分以内に収めた団体のカットを紹介いたします。以下に示すカットは「このような事例があった」と言うだけのもので、決して私自身が推奨しているカットではありません。これ以上のカットに関するお問い合わせには、一切応じるつもりはありませんので、どうぞご了承下さい。また、カットに関する提案を下さる方もいらっしゃいますが、どうかご勘弁下さい。
「おおみそか」奈良県生駒市立鹿ノ台中学校の場合
1回目:[30]2拍目〜[46]1拍目/2回目:[46]2拍目〜[94]1拍目 以上2ヶ所
「たなばた」富山県高岡市立野村小学校の場合
[2]〜[3]/[66]〜[69]/[115]〜[141] 以上3ヶ所(2000.6.20)
富山県の高岡市立野村小学校ではSoprano Saxphone、中間部の終わり近くにもOboeの短いSoloがありますが、そちらはFluteで演奏していました。
奈良県の生駒市立鹿ノ台中学校ではどちらもClarinetで演奏していました。
私はどちらの演奏も聴きましたがそれほど違和感はありませんでした。それぞれのバンドによって事情も変わると思いますが、この場面に最もふさわしい音を出せる楽器(奏者)を選んでいただければと思います。ただ、この部分は音域を変えずに演奏していただきたいので、いくら上手な人がいるからと言ってBassoonやTubaで演奏するのは勘弁して下さい。それからOboeのメンバーがいるのに、このsoloが難しいからと言って、他の楽器に差し替えるような寂しいことはしないで下さいね。(1999.6.1)
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